ITによる営農支援 ~農機メーカー技術の最前線~ を聴きに行ってきました

Share on Facebook0Tweet about this on TwitterShare on Google+0Share on LinkedIn0

ITによる営農支援 ~農機メーカー技術の最前線~(主催:農業食料工学会関西支部)というシンポジウムが岐阜でありましたので参加してきました。

今日はそこでのセッション内容をメモから書き写してみます。
私の主観も入っているので正確かは保証できません(^ ^

当日のセッション

IT農業概論(農研機構 林氏)

IT農業の背景と現状についての講演でした。

農業とITを取り巻く現状についての説明

IT技術

  • IT機器が進化、低コスト化する事により世の中に広く普及するようになった
  • GoogleMap等を用いた圃場地図も一般的に
  • IT技術を使って何かできるのではないか

生産者

  • 大規模化、生産者の高齢化が進んでいる
  • 大規模化と言っても圃場自体が大きいのではなく、圃場の数が多くなっている
  • そのため、大規模化に伴い組織内の情報の共有化が難しく、効率化に注目している
  • 消費者の安心に応えるため、トレーサビリティ・GAP対応・作業記録などやる事が増えてきている

  • スマート農業を推し進めたい

→3者の中でIT農業に関する熱気、期待が高まっている

今回はその中の生産者に注目する。
生産者の日常作業はこれまで手入力や記憶に頼っており問題が山積している。

  • 大規模化に対応しづらい
  • トレーサビリティを確保しようとすると手間が大変かかってしまう
  • 手入力だと誤りが発生してしまう

このような問題に各メーカーがどのような解を持っているのかが今日のテーマ、との事

この後、農研機構で研究中のロボット農用車両遠隔運用システムの紹介をして頂きました。

ITを活用した営農支援と未来の農業(井関農機 土居氏)

圃場管理が大規模化によって煩雑となっている
→圃場取り違え(間違えて隣の田んぼを刈り取っちゃった、という事例もあった)
知識、技術の消失
→新規就農しようにも知識、技術が消失しているので大変な手間がかかる
KKD(勘、経験、度胸)からの脱却
→データ化、見える化して経営に反映させる

イセキアグリサポート
作業機械の作業実績、燃費、アラート情報、効率を自動的に収集し見える化
スマートファーマーズサポート(Akisai井関仕様)

アグリサポートはスマートフォンのみの使用であれば無料で使用可能(地図、日誌機能)

クボタスマートアグリシステムKSAS -農業を科学し、創造する-(クボタ 宮地氏)

主に製品の説明でした。→KSAS

2014/6にリリース後、約1000圃場を持った法人への導入事例について説明
KSASは基本コース、基本コース+KSASモバイル、本格コースの三本立て

基本コース
圃場単位で作業日誌、写真記録などを行う

基本コース+KSASモバイル

基本コースに加え、専用のモバイル機器(京セラ製 Torque)を用いて、現場でも作業記録が出来るようになっている
→ゆくゆくは手持ちのスマートフォンでも出来るようにしたい
作業者の行動記録も取れるので、効率の良い圃場巡り等も可能になる
→作業者が管理されすぎと感じてしまうかもしれないが…機能として出来ますよ、という事で。

本格コース
基本コース作業機械との連携―コンバインに搭載された食味センサ、収量センサで自動記録―
→次期作の施肥計画に活かすことが出来る。タンパク質が多いのであれば肥料を少なくしようか、等

PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回すことによって、農業の生産管理を行う

ヤンマーが提案するこれからの新しい農業のカタチ「スマートアシスト」(ヤンマー 宮本氏)

高額な作業機械なのだから100%余すとこなく使って欲しい
→作業機械(ここではコンバインを主に説明)についてオンライン、オフラインで支援

  • コンバインでの収穫時に収穫量、収穫物(米)の水分、収穫ロスをリアルタイムでパネル表示
  • メンテナンス情報をヤンマーでも管理して生産者をサポート
  • 盗難防止(設定された地域範囲外に出るとアラートメールでおしらせ)機能
  • その他いろいろと

生産履歴はソリマチ製フェースファームと連携

農業で重要なのは土、そのため土づくり支援を行っている
土の状態を「見える化」する土壌診断
簡易診断であれば無料なので使って欲しい

ITを活用したポストハーベストと品質管理(サタケ 水野氏)

多用途搬送システムについての説明

  • 1t単位のコンテナ毎に搬送するシステムで、穀類をそのまま搬送するよりも穀類自体へのダメージが少ない、乾燥もコンテナ内で行う
  • ストッカー搬送システムの応用っぽい感じでした。 (業種は違いますが村田機械のページがイメージがつきやすいかも)
  • 縦方向に収納するので専有面積が少ない割に多くの在庫をストック出来るのも利点
  • 納入実績として最大級で2000tを扱えるシステムもある

コンタミ(異品質の混入)、トレサビリティの確保が出来るとの事。
→コンテナ単位で管理するため搬送システム内での混入は起こらない、

総合討論

データのオープン化(オープンデータ)、共通化について
主にクボタ 宮地氏、ヤンマー 宮本氏、井関 水野氏が回答

  • ソリマチさんと協業して収穫データをFaceFarmで活用してもらっている。また、コンバインからはUSBメモリにデータを移すことが可能なので、それを使いExcel等を使用して貰えればいいのではないか。(宮本氏)
  • いずれはCADのDXFフォーマットのように共通したモノは必要だと思っている。現時点ではクボタの機械を使っていれば基本的な情報(圃場情報など)に加え、機械の情報も出すことが可能。(宮地氏)
  • 各メーカーの許可が下りるのであればオープン化は歓迎。(水野氏)

→ただ共通化に関しては各社ともサービスを開始して日も浅く何も決まってないことが多いようです。共通化に関しては「誰が音頭を取ろうか」という状態。

導入に際しての苦労話
やはり管理する圃場が多いので、1000筆分の地図データを入力するのは大変な手間がかかった。
ただ、圃場を入力する段階でその圃場についての情報を知る事が出来たのは良かった。
(→圃場情報としてあいまいに分かっていた事が決められたフォーマットに入力することでデータとして一覧できるようになったのが良かった、と推測します)

トレサビリティーに関して生産物IDなどに対応しているか
多用途搬送システムは対応しているが、作業機械メーカーは現時点では対応していない様子。
ただデータ項目としては追加できるので、それで使って貰うか、という所。

コストアップにどう対応できるか
結局のところ、このような機械を導入したことで、どれぐらいのコストダウンは出来るのか?
→無駄(施肥の無駄、農薬の無駄、作業効率の無駄)を見える化して工夫することでトータルでのコストダウンは可能ではないかと考えているが、実際やってみないと判らない部分もある

感想

開演15分前に着いて余裕に着席しようとしましたが、会場は既に人いっぱいでした(oh…)。
これは主催者側も想定以上だったらしく、急遽隣にあるサブ会場も使ってのシンポジウムとなりました。

やはり稲作用機械を作っているメーカーが揃っているだけあって、話題の中心はコンバインなどの稲作機械を中心とした説明でした。
各社とも米以外の作物にも対応されていますが、今度は畑作についても詳しく聞いてみたいですね。

管理者←→機械オペレーターという形で管理者がオペレータに指示を出し、オペレーターは指示の通りに動くのですが、大規模になると管理者の負担がかなり大きなものになるのでは?と感じました。このあたりを質問すれば良かったかもしれませんね。
Trac,Redmine,JIRAのようなプロジェクト管理ツールのように進捗が判るようにすると面白いかも、と考えています。

個人的には圃場管理にGoogleMapを使って管理する必要性ってあるのかな?と思っていたのですが、1000筆もの区画を管理するのであれば一覧でぱっと見で判る地図表示は便利だと思います。
ただ、施設園芸ではこのように細かい区画毎に管理するという必要性があまり無いかもしれないなぁ…とも。

最後に

4時間近くを集中して聞くのは大変でしたが、貴重な時間でした。
井の中の蛙にならないように、情報収集もしておかないといけませんね。

それではまた。