今日はとある写真に写っていた植物について調べてみました。
ハウスの中の見慣れない植物
まずは上の写真をご覧下さい。今年の7/25に弊社Facebookページに挙げられた写真です。
普段はトマトが植わっているハウスですが、この時は見慣れない植物が写真に写っています。
文中の「植わっている草で残存肥料を吸い上げる」という言葉に馴染みが無かったので調べてみました。
植物の正体は
Facebook上ではこれ以上の事は書いていなかったのですが、何の植物を植えているのか聞いてみると「ソルゴー」との事でした。
ソルゴーは別名でソルガム、コウリャンとも言われています。そう言えば学生時代、コウリャンという名前は良く聞いた覚えがありますね。
ソルゴーは土壌中の栄養分(栄養塩類)をよく吸収してくれるそうです。イネ科の植物では他にライ麦、えん麦、トウモロコシも使用されているとの事。
今回のソルゴーはある程度の期間栽培したら、刈り取ってハウス外に持ち出すそうです。
素人考えでは、
「せっかく土壌中にも栄養が行き渡っているのに何でソルゴーで肥料を吸収しちゃうの?勿体無いじゃん」
と思ってしまうのですが、なぜトマト栽培の後にソルゴーを栽培する理由を聞くと「それもそうだ」と納得出来るものがありました。
クリーニングクロップの働き
今回の写真中のソルゴーは話を聞く限り「クリーニングクロップ」としての働きを期待しているものと言えます。
クリーニングクロップ(cleaning crop)とはなんでしょうか?
cleaning(掃除)、crop(穀物、作物)を組み合わせた言葉で、直訳すると「掃除する作物」になりますが…
栽培期間が終わった後の土壌の栄養バランス、窒素(N)―リン(P)―カリウム(K)のバランスはどのようになっているか、というのは土壌診断などを実際にしてみないと分かりません。土壌中の栄養分は少ないと作物がよく育ちませんが、多すぎてもまた問題となります。
また土壌に鋤き込んだ栄養分が全て作物に吸収される事はなく、大半は土壌中に残ります。それもN-P-Kのバランスが崩れて。
そして土壌中のN-P-Kバランスの崩れた状態で、次の作付けの前に同じように元肥を投入しているとしたらどうなるか?
一年後、二年後も同じ事を繰り返すと…どんどんとバランスが崩れていくのが容易に想像出来ますね。
それを防ぐ方法として、これまでは潅水して栽培期間後の土壌の栄養分をいわば「洗い流す」という方法が取られる事もありました。しかし、土壌から流れだす栄養分が周りの環境を汚してしまう事が近年問題視されてきています。
そこでソルゴーなどのイネ科植物「クリーニングクロップ」。土壌中の栄養分をよく吸収してくれる事を利用して、作物栽培後に植えることによって土壌中の余剰な栄養分を吸収して貰います。ある程度育ったら刈り取ってハウス外に持ち出す。こうする事によって、周りの環境を汚すこと無く土壌中の養分をある程度リセットできるようになります。
私が調べてみた所、クリーニングクロップの働きとは以上のような事でした。うーん、奥が深いですね。
参考資料
今回は検索してみた結果、以下の資料を参考にしてみました。色々と読んでみると勉強になります。
いやぁ、調べれば調べるほど面白いですね。
ではまた。