思い込みが気付きの邪魔をする。

一週間ほど前に忘れかけてた誕生日を迎え、また還暦が近づいたなぁ。。と思いながら。。
経験を積むことで少しでも経験値に近い事象があると、ついつい「これは、こういうもの」という対応をしがちです。
ログBOXをリリースした後で、CO2センサーの値がセンサー自体に搭載された「自動校正」によりドリフトしている状態に思いを向ける前に、今は大気のCO2濃度も上がっているのだから、、、こんな値なのだろう。。
という安易な判断で対応が遅れる事になってしまったのも、その一つです。

生産者の方々は、その思い込みをモニタ機器を入れる事で払拭し、得られた気付きを糧にして取り組んでみえるわけで、その気付きを与える機械を提供する自分たちが思い込んでいたらいかん訳です。(-_-)

ちなみに、自動校正とは、
・所定の期間の最低値を「400ppm」とみなして以降の計測値を調整する
というものです。
普通の事務所とか、住宅であれば、窓を開けて外気を入れる事で大気と同じ濃度に下がるだろうという前提で搭載された機能です。

しかし、施設園芸用に立てられた温室は、CO2を取り込んで光合成を行い成長する植物が大量に栽培されていて、しかも通常はビニールやガラスで覆っている訳ですから、400ppmよりも低くなってしまい、その値を400ppmとして見直してしまうことで、次にその400ppmよりも低くなった値の時に400と計測されてしまう事になります。
これは不味いです。

その対応が遅れた見返りとして、
・俺のハウスのCO2濃度ってこんなに低いの? 交換したセンサーおかしくないか?
という反応が返ってきてしまう事になります。
当の生産者の方は、ログBOXを導入する前は、試作機として「おんどとり」を利用した計測を試して頂いてたのですが、そのおんどとり自体に搭載されたCO2センサーにも自動校正があって、

CO2_Before

な状態(最低値が外気と同じ400ppm。。)で表示されていました。
夜中の濃度が高いのは、植物自体が呼吸をするのと、土耕なので、土中の微生物の呼吸によるものですが、日が上がって光合成が始まると、CO2濃度は下がり始めますが、400で止まってしまうのは、、???ですね。
その後、ログBOXを導入頂いた事で、センサーが初期状態ですから。。

CO2_After1

と一気に下がった値が表示されます。
ここで、えーー、こんなに低いの・・かという事になります。
しかし、この時点でのログBOXのセンサーは自動校正が生きているので、時間が経つと

CO2_After2

値がだんだんと上がってきます。
そして、自動校正について説明させて頂いて、CO2センサーを交換した

CO2_Replaced

とたんに、、また下がった。。
# 途中0になっているのは、何度か電源入れ直しをした為です。
これは、表示される値を信じて栽培している生産者の方にとっては、順調だと思っていた環境制御が、実の所はCO2が足りないという事にやっと気づく事になったという事です。

CO2_Aftered

これが、現在の状態。。。
早速、CO2発生器を入れた方が良さそうだなぁ、、という検討を開始されていました。
私たちにとって、今回の出来事は生産者さんが
「あれ、、こんな値か?」
と少しでも疑問に感じる状態を見逃さないということが大きな気付きであったということでした。

歳はとっても、中身が良くなる訳でもないので、周りから得られる事柄に支えられている事を忘れないようにしないといけませんね。